「ペロ」が居なくなって間もなくウチは市営住宅に引っ越したんですけど、やはりネコが欲しくなるワケ。で、普通だったら子供がダダこねて、親は「ダメっ！」とか言うのが普通なんだけど、ウチの親もネコ欲しかったワケ。
そしたら、またしても親戚のウチから白黒のブチを頂いて来たんですね。

こいつに付けた名前が「金太郎」

こいつは「ペロ」とはちょっと違ってバカだったんですね。
その市営住宅のすぐ近くに、小さなお店があって、ボクもお小遣いもらって、おやつ買いに行ったりするんだけど、後ろから金太郎がついて来るの。ボクも気付いてて、クルっと後を見ると、知らんフリしてそこらの草の匂い嗅いでるマネしたりしてるの。そして歩き出すとちゃんとついて来る。

こんなこともありました。
ウチの屋根に登ってて、ペロとは違ってちゃんと自分で降りれるんだけど、何を思ったか、近くの木に飛び降りたワケ。何の木かは忘れたけど、葉っぱがいっぱい生茂ってて、屋根から見たら絨毯のように見えたんでしょうね。生茂ってる葉っぱの上に立てるハズもなく、木の中を、枝にぶつかりながら、グシャグシャグシャって地面まで落ちてしまったワケです。
普通ネコだったら、落ちた時でも足から降りるでしょうが、足から！

そんな金太郎も、大好物がありました。

「ベビースターラーメン」

これを与えてしまったのが失敗でした。
最初は面白がって与えていたのですが、次第にこれしか食べなくなりました。
栄養失調になりそうだってんで、普通のネコのエサしか与えないようにしても、全然食べないワケですよ。
先述のお店へ買い物に行っても、いつものようについて来て、店の中に入るとベビースターラーメンの前に座って、もの欲しそうな顔しておねだりしているんですね。
次第に真っ黒だった背中の色も薄くなってきて、それでも他のものは食べなかった。

心配してたら、勝手にいなくなってしまった。

しばらくは学校から帰ったら近所を探して歩きました。
だって、ヨソに行っても「こいつベビースターラーメンしか食べない」なんて誰も気付くハズないもの。絶対腹減らして困ってるって。

「ネコは死に目を飼主に見せない」ことを知るのは、その後になってからでした。
もう、あの状態では長くなかったのでしょうね。

バカなヤツだったけど、最期はやっぱり、エラかったんですね。
ごめんね、金太郎